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観世流のご案内

二十六世観世宗家 観世清和(かんぜきよかず)
Ⓒ鍋島徳恭
【プロフィール】
二十六世観世宗家
観世 清和(かんぜ きよかず) 
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昭和34年東京生まれ。父は二十五世観世宗家観世左近元正。
流祖 観阿弥・世阿弥・音阿弥の子孫として700年の伝統を受け継ぐ二十六世観世宗家。

国内はもとより、フランス・インド・タイ・中国・アメリカ・ドイツ・ポーランド・リトアニアなどの海外公演、及び
「箱崎」「阿古屋松」「賀茂物狂」などの復曲、「聖パウロの回心」「利休」などの新作能に意欲的に取り組み現在の能楽界を牽引する。

中でも2016年7月 ニューヨーク・リンカーンセンターにおける招聘公演(5日間6公演)は連日満員の盛況で批評家から極めて高い評価を得るなど大成功を収めた。
また観世宗家に伝わる能面・能装束・伝書を収蔵する「一般財団法人 観世文庫」を設立し又、「観世アーカイブ」(インターネット)にて世阿弥 自筆本をはじめ、多くの伝書・文書類を広く公開し、能楽の研究と普及に尽力している。2011年の東日本大震災時は、鎮魂と復興への勧進(かんじん)義援能を精力的に開催した。2017年には、渋谷区・松濤「観世能楽堂」を観世家ゆかりの地「銀座」へ移転し約150年振りの帰還を果たした。
令和元年10月には天皇陛下御即位に伴う「即位礼正殿の儀 内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」にて日本国政府代表、来日された各国元首・代表・祝賀使節団へ祝言曲「石橋」を嫡男 三郎太共々披露した。
さらには(独)日本芸術文化振興会評議員などを歴任し日本の伝統芸術の保存と継承に寄与、東京芸術大学音楽学部客員教授、国立能楽堂三役養成主任講師として後進の育成にあたる。

著書・共著・監修に『観世清和と能を観よう』(岩崎書店)、『新訳 風姿花伝』(PHP)、『能はこんなに面白い』(小学館)、「観世宗家能暦」(淡交社)などがある。

能楽宗家会会長、(一財)観世文庫理事長、(一社)観世会理事長、東京藝術大学客員教授、(一社)日本能楽会常務理事・副会長、(公社)能楽協会顧問、
(一財)日本中国文化交流協会副会長。

芸術選奨文部大臣新人賞、フランス芸術文化勲章シュバリエ、渋谷区制70周年記念特別表彰、芸術選奨文部科学大臣賞、伝統文化ポーラ賞大賞、JXTG音楽賞、紫綬褒章、日本芸術院賞など受賞(章)。
令和5年日本芸術院会員就任。同年 文化功労者認定顕彰。
重要無形文化財総合認定保持者。

観世流の歴史

世阿弥直筆「第六花修」
▲世阿弥直筆「第六花修」
観世流の原型となったのは、南北朝時代に大和(奈良県)で活動していた猿楽芸能の一座・結崎座で、その結崎座に所属し、大夫(座の代表する役者)を勤めていた観阿弥清次が観世流の初代です。

観阿弥は、息子の世阿弥とともに京都に進出し時の室町幕府三代将軍足利義満に認められ、その庇護のもと各地に勢力を伸ばします。

都の貴族文化を吸収した観世座の能は、観阿弥、世阿弥父子の手によって芸能としてより洗練され、深みを増しました。観阿弥の後を継ぎ、二世観世大夫となった世阿弥は、夢幻能という独創的なスタイルを確立したほか、「風姿花伝」などの画期的な芸能論を著すなど、傑出した才能を発揮しました。能を深遠な人間論と哲学に貫かれた芸術に高めた世阿弥は、芸術史上の巨人として、今では国内のみならず世界からも注目され、仰ぎ見られる存在となっています。

世阿弥の息子・元雅が若くして亡くなりましたので、観世座の大夫は甥の音阿弥が継承し、以後 代々の大夫が時の権力者の保護を得ながら観世の能を後世に伝えました。

江戸時代に入りますと、徳川幕府が能を式楽(幕府の儀式で奏される音楽・芸能)に定め、また様々な流派の中でも特に観世流に庇護を加えたことによって、観世流は観世父子以来の全盛時代を迎えることとなります。
この間に、いわゆる家元制度が確立し、また能の演技そのものも、公的な行事の場で演じられるに相応しい荘重なものとなり、現代演じられている能のスタイルがほぼ出来上がったと考えられています。

明治維新によって江戸幕府が倒れ、幕府から俸禄を得ていた観世流は苦境に立たされることとなります。しかし、家元等の努力によって次第に復調し、二十四世家元・観世左近元滋の時代には、すべての上演曲目の整理を行い「観世流大成版」謡本を刊行致しました。

昭和に至り、うち続く世界大戦が国民の文化生活を根底から破壊します。更に戦後の統制政策によって、日本の伝統文化が排撃されようとする中、観世流も再び苦難の時代を迎えますが、二十五世観世左近元正をはじめとする能楽師はねばりづよく能の伝承の保持と後継者の育成に努めます。そして二十六世観世清和が伝統芸能の世界を牽引する平成の現在、観世流は能楽師約900人を擁する最大の流派となり、能はふたたび新たな黄金時代を迎えようとしています。

(註釈)
能楽の世界では家元を「宗家」と呼びますが、そもそもは徳川幕府将軍から観世の大夫が与えられた名称でした。また「二十六世」の世号も「二十六代目」と表すのとは異なり、元は出家名として京都の大徳寺より贈られた号で、十五世の時代より、出家をせずとも世号を名乗ることが許されたとのことです。

観世大夫家略系譜

観世大夫家略系譜

(2009-10-10 ・ 1647KB)

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