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ご挨拶

能の舞台へようこそ。
 ギリシャ劇は、あの石の舞台と壮大な戯曲を残したまま、キリスト生誕以前に滅びています。時間と空間を共有する観客なしには成り立たぬ演劇は、ゴッホやモジリアニが後世に評価されるという造形芸術の幸せを待つことはできないのです。
世界最古のサンスクリット演劇から派生したインドのカタカリも有名ですが、能のように7世紀近くも第一線で演じ継がれているのは、例がありません。それは時代を超え、今や国境を越えて感動を与え続けているのです。

 能の持つ常に新鮮な命の鼓動に触れてみることは、混迷の時代に生きる現代人にとって
どれほどの力になることでしょう。
 かつて能は、ノソノソした退屈な存在として、一般からむしろ敬遠されていたこともありました。そうした固定観念の殻にとらわれることなく、現代人が接し始めた時、思いがけない感動の泉をそこに見つけたのです。
 一方、現代の科学は、じっと動かない能の演技者の心拍数が、どんなマラソン選手よりも激しい体力と気力の集中であることを証明し、能の笛が連続的に、大鼓が断続的に発する高周波が脳に著しい好影響を与えることを発見し、世阿弥の指示した能面をかけた演技者のトランスと覚めた意識の相関関係の見事さ、また能の心地よい快感支配のメカニズムも明らかにしつつあるのです。
能は一番古くて、しかももっとも新しい現代の演劇なのです。
 能の舞台へようこそ。(武蔵野大学名誉教授 増田正造氏「観世流 能のすすめ」より)

 多岐に亘る能楽普及活動――

 皆さんは「能楽」という言葉に、どのようなイメージをお持ちになるでしょうか? ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されている、日本が誇る伝統芸能である「能楽」は、今から約700年前の室町時代に誕生。代々の能楽師によって受継がれ、明治維新や戦争などの激動の歴史をくぐり抜け、現在も全国の能楽堂で上演されています。
 
 700年という時間の中で、「能楽」が育んできた独自の表現には、美しい装束や能面をはじめ、数多くの見所があります。また、源義経や六条御息所など、日本史や古典文学作品の中に名前のある人物たちに舞台上で出会えるのも、大きな魅力のひとつでしょう。人間の葛藤や、恋愛模様という、いつの時代も変わらず、観客を惹き付けて止まない物語が、「能楽」の曲目のなかには溢れています。
 
 そんな「能楽」に、一人でも多くの方に親しんで頂きたいとの思いから、観世会はあらゆる客層に向けて、様々な活動に取り組んでいます。東京・銀座にある観世能楽堂(定員480席)で、一流の能楽をご覧頂く「観世会定期能」を始めとした本公演から、能楽師が各地にお伺いしての「薪能」や「ワークショップ」・「講演」・「学生能」等、活動は多岐に亘っています。

観世ネット

一般財団法人 観世文庫と一般社団法人 観世会が共同運営する「KANZE.net」は、日本の最高水準の芸術である「能」をひとりでも多くの方に知っていただくためのサイトです。このホームページを「観世流能楽の情報発信基地」として活用し、皆様によりいっそう能の魅力をお伝えできるよう努めて参りたく存じますので、引き続きご支援、ご協力のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
2007年11月4日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産委員会が開催され、世界各地の90件が無形文化遺産代表リストに登録されました。日本からは能楽をはじめ、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎が登録されました。

一般財団法人観世文庫
〒150-0001  東京都渋谷区
神宮前5丁目27番2号
TEL.03-6418-5025
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